不動産の表示に関する登記

不動産の表示に関する登記、つまり、権利ではなく位置形状に関する登記にはどのような種類があるかを紹介します。

土地の表示に関する主な登記

土地表題登記

土地に区画と地番を設けて、登記の対象となるようにします。

海上の一部を埋め立て新たな土地を作った場合や、登記所の公図上で里道や水路として示されている部分の一部を取得する場合などに申請します。

土地地積更正登記

登記上の土地面積(地積)が実測値と異なる場合に、正しい地積にする登記です。

土地地目変更登記

土地の用途(地目)が変更された時にする登記です。どのような地目に該当するか、登記の対象となる変更が認められるかどうかは、法的に判断されます。

土地分筆登記

1筆(『筆』は登記上の土地の数え方)の土地を2筆以上に分ける登記です。分かれた土地には新たな地番が設けられます。
土地の一部を売買したり、遺産分割などで複数人で分けたい時などに申請します。

土地合筆登記

分筆登記とは逆に、2筆以上の土地を1筆にする登記です。
分譲用地とするため、複数の筆からなる土地を一旦一つにして分け直したいときなどに使われます。

建物の表示に関する登記

建物表題登記

建物を新築した時に行う登記です。
新築から一ヶ月以内に申請して登記するのが原則ですが、古くからある建物を売買しようとして、初めて未登記のままであったことに気づかれることもあります。
その場合でも、この表題登記は申請可能です。

建物表題部変更登記

建物の状態に何らかの変更があり、登記記録と異なるに至った場合に行う登記で、変更の内容(登記の原因)は多岐にわたります。

  1. 増築、一部取壊し、又はその両方
  2. 離れや物置など附属建物の新築、取壊し、又は1.のような変更
  3. 店舗から居宅など、用途(種類)の変更
  4. 建物の躯体(木造・鉄骨造他)、屋根の種類(かわらぶき・スレート葺き他)など構造の変更
  5. えい行移転

他にも、増築により母屋と離れが一体化した場合の「合体」などもあります。
また、これらの変更内容を複数組み合わせて一緒に申請することもあります。

建物分割登記/建物合併登記

通常、母屋と離れや、社屋とその倉庫など、主従関係にあって一体的な利用が認められる建物は、「主である建物」と「附属建物」として、登記上一つの建物として扱われます。
建物分割登記は、このような建物を別個の独立した登記に分けます。合併登記はその逆で、複数の建物を主従関係で一つの登記にまとめます。

建物滅失登記

建物を取り壊したときの登記です。
なお、離れなど、登記上附属建物の扱いになっている場合は、上記の「建物表題部変更登記」になります。

区分建物の表示に関する登記

分譲マンションのように、一棟の建物内に複数の所有権が発生する建物は「区分建物」として登記することになります。

登記の記録が一棟全体の他、区分ごとに別々に発生するなどの点が一般の建物とは異なりますが、表題登記、表題部変更登記など、登記の目的は一般の建物とほぼ同じです。

その他の登記や関連する手続き

官民境界確定申請

自分の所有地(民有地)に接する官有地(道や水路など)との境界について、立会を経て確定の手続を行うための申請です。
民有地同士の筆界確認は、当事者同士で立会を行い、筆界確認書を作成することで行いますが、これを市など「官」との間で行うための申請です。
申請の上、日を決めて立会を行い、境界を確認する点では民有地同士と同じです。
最終的には、「官民境界確定協議書」が作成され、これが自分と官有地との間の境界が確定したことを証する書面となります。

農地転用

駐車場(雑種地)から宅地などへの地目変更とは異なり、農地である田や畑は、農地法により、勝手に農地以外に変更することができません。
農地を農地以外の用途に変更するためには、農地転用の許可や届出など、行政上の手続きが求められます。

地目変更登記申請の際にも、登記地目が農地であり、変更後の地目が農地以外である場合には、この農地転用の許可が得られていることを証する情報が、一般的には求められます。

用途廃止/払い下げ

登記所の公図上で里道や水路として示されている部分の一部を取得できる場合があります。この場合に、その里道・水路の管理者である行政機関との間で、必要に応じて境界を確定させ、用途廃止や払い下げ等の手続きを経て、土地表題登記を申請し、その後所有権保存登記を行うことで、その持ち主の土地として、登記記録がされることとなります。